鹿屋ハートセンター記念講演で報告
10万人あたりトップの松戸市に次ぐ
写真=心臓カテーテル治療件数が報告された鹿屋ハートセンター記念講演会の様子
かつて心臓治療が最も遅れていた鹿屋市の心臓カテーテル治療件数が人口10万人あたりでみると全国トップクラスの水準になっているという。心臓疾患者が鹿児島市まで搬送されていたのが複数の病院でカテーテル治療が可能になった。ただ、専門医の確保など課題は多く、鹿屋ハートセンターの新井英和院長は「今の水準がわずか一晩で脆くも崩れ去る可能性は十分ある。この水準をずっと継続していくには何よりも地域住民の支えが重要」と訴えている。
この心臓カテーテル治療件数は、21日に行われた鹿屋ハートセンター3周年記念講演で新井院長が報告したもので、07年は全国で最もカテーテル治療が充実している千葉県松戸市で人口10万人あたり882件、鹿屋市がそれに次ぐ752件となっており、鹿児島市の321件、霧島市86件を大きく上回っている。
わずか10年前、全都道府県の第2位の都市で心臓治療ができる施設が整っていなかったのは鹿屋市だけ。大隅地域の心臓疾患の急患は錦江湾を渡って鹿児島市まで搬送されなければ助からない状態で、救急搬送中に命を落とす人も少なくなかった。
大隅鹿屋病院総長を務めたハートセンターの新井院長が、大隅鹿屋病院に赴任した00年からようやく心臓外科がスタート。この心臓外科の後ろ盾を受けるように鹿屋医療センターでカテーテル治療が始まった。さらに新井院長が06年に大隅唯一の心臓病専門施設・鹿屋ハートセンターを開設し、徐々に鹿屋市での心臓治療が充実してきた。
ハートセンター記念講演では新井院長の医学部時代からの友人、大和成和病院(神奈川県大和市)院長の南淵明宏氏が基調講演。南淵院長は国内で最も知名度の高い心臓外科医の一人で、この地域と南淵院長が縁を結ぶことで、少しずつ高まってきた今の心臓治療水準を将来的にも確保できるのではないかとの期待を込められている。
ただ鹿屋の心臓治療の歴史は浅く、外部から来たわずか数人の医師の上に成り立っているのが現状。今後、いかにして医師を確保し、現在の水準を保ち続けていくかが大きな課題となっている。
講演で新井院長は「今の水準はたった一晩、たった一人の医者が去ることで脆くも崩れ去る可能性がある。現在の体制を維持し続けるのは行政や政治家ではなく、地元の皆さんの力。安定して安全な医療水準を維持していくには地域の皆さんの支えと理解が最も重要なのです」と呼びかけた。